ひろしの視点

緊急事態宣言解除 ~第二次補正予算編成へ~

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための緊急事態宣言も、すべて解除されました。

しかし、この緊急事態宣言とそれに伴う経済活動の自粛により、日本経済は本当に大きなダメージを受けました。

感染症対策には、人の動きを制限することが必要です。そのためには、経済活動の制限はある程度やむを得ない。しかし、経済活動を制限したら人々の生活を直撃することになります。日々の営業活動で人々は収入を得、生活をしています。その営業活動を「してはいけない」ということにするわけですから、当然、その分の補償をしなくては生活を維持することができなくなります。誰が考えても分かることです。

しかし、我が国政府は、「補償をしない」という方針を固めた上で緊急事態宣言を発出しました。そして、あくまでも営業は「自粛」を要請したのです。

自粛ということは、〝自ら判断して営業を取りやめる〟というものです。自己判断ですから、損失を被っても自己責任。自分で何とかして下さい。それが政府の方針でありました。

これは、明らかにおかしい。政府に、経済的損害を補償するだけの力がないのであれば仕方が無いし、それを正直に言うべきです。しかし、日本国政府には、日本国民が被るすべての経済的損害から国民を救う力があります。にもかかわらず、それをしないことを決断したのです。

なぜそんな判断をしたのか?

それは、相変わらず「日本の財政は危機的状況なので、日本国民を救済するためのおカネは出せない」という「財政破綻論」のせいです。

私が会長を務める議員連盟「日本の未来を考える勉強会」では、今回の緊急事態宣言がでるよりも以前の3月11日に、30兆円規模の補正予算を編成して休業補償や粗利補償、さらに消費税をゼロにするべきであるという提言を提出しています。これは、政府が学校の一斉休校と経済活動の自粛を要請したため、「これは大変なことになる」と直感したので、いち早く手を打つべきと提言をしたのです。そして、この財源は躊躇なく国債を発行して賄うべきでプライマリーバランス黒字化目標は当面延期をすることも併せて提言しました。

この時は、政府・与党幹部とも非常に反応が鈍く、「大丈夫だよ」という反応がほとんど。融資については、いろいろ意見が出て、「早く融資しろ」という声は出ていたものの、「補償すべき」という声は皆無だったのです。

その後、緊急事態宣言が発出され、全国に拡大され、被害は拡大していきました。

雇用調整助成金の請求をしようとしても、手続きは煩雑で一向に前に進みません。しかも上限が8330円と低額で、まともな賃金を払っている会社ではとても足りない。そんな状況です。いち早く国民に一律10万円給付すべしという声も、「低所得者に限り、一世帯30万円のほうが支給が早い」という説明により、所得制限つき30万円支給ということになりました。これが最終的には国民一人一律10万円に土壇場でひっくり返ったのは、皆さんご承知のとおりです。しかし、この修正により、補正予算の決定は一週間延びてしまいました。

そんな中、不評を払拭しようとしたマスクの配布や無用な総理の動画配信で、逆に国民の不評を買ってしまいます。家にいなくてはならないのは国民であって、総理ではありません。これは極めて残念な判断でした。これを止める人は周囲にいないのか?誰もが不思議に思ったでしょう。

そして、次に「検察庁法改正案」が出てきました。国民あげての反対運動に広がっていったのは、法律の内容よりも、これらコロナ対策の一連の政府の対応が国民の不信を招き、あるいは怒りを増幅させるものであったために、このような反対運動が起こりやすかったものと考えられます。

さらに、この検察庁法改正によって検事総長に就任するのではないかと噂された人物が、賭け麻雀で辞職し、この混乱に拍車をかけました。週末の世論調査では、内閣支持率が軒並み%30を切り、危険水域に入ってきました。

感染症対策は世界も試行錯誤しています。世界各国も様々な対応をしていますが、米国やイタリアなどでは死者も膨大になり、まさに危機的状況であるということができます。

それに比べれば、日本は医療関係者のご努力により、死者や致死率は世界最低水準で抑えられています。これは原因がよく分かりません。事後に改めて検証する必要があると思います。

日本は世界でもコロナウイルス対策を「結果的にはうまく対応している」ということができるのだろうと思います。普通ならこの状況なら支持率は上がるはずですが、実際は支持率は劇的に下がってしまったのです。

その理由は、「カネさえ出せば解決できる」最も簡単な対策である経済対策が、非常にお粗末であったということに尽きるでしょう。PCR検査が不十分とか、そんなことは関係ないでしょう。なぜなら、これをやったところで致死率等にはおそらく影響はありません。現在の対策で十分だったのです。

しかし、日本政府は経済対策を、十分な補償をしなかった。これは、明らかに政策判断の不手際で、これにより倒産しなくてもいい企業が倒産し、失業しなくてもいい人が失業しました。あらゆる企業・個人が、不必要な心労を負い、いわれのない借金を抱えなくてはならなくなりました。

これでは、国民の怒りを買うのは当然です。

昨日(5月27日)に、第二次補正予算が閣議決定されました。真水で32兆円。我々は、真水で100兆円を要求していましたから、それに比べればまだまだ足りない。消費税ゼロにも粗利補償にも踏み込めませんでした。

しかし、新規国債発行により32兆円の財源を確保したことは大きな意義があります。これも、支持率が低下し、自民党内にある程度危機感が共有できたことが大きな原動力となりました。

第一次補正予算と合わせると新規国債が50兆円を超えました。今までの財務省の常識からは「あり得ない」規模になりました。

どうせ出すなら、最初から出しておけば支持率は上がっていたはずです。同じ国債発行でも、後から言われて渋々出すのと、言われる前にドンと出すのとでは印象は全く違います。そういう意味では、同じ予算を使うにしても効果的ではなかったと思います。しかし、出さないよりは出す方がいい。出して全額を十分に使うべきです。

もちろん、第二次補正予算は、すぐに効果がある部分は10兆円で、あとは予備費10兆円と融資になっているので、否定的な見方をする人もいるでしょう。しかし、第一次補正予算成立直後には、第2次補正予算を直ちに編成する機運は皆無だったのです。それが1ヶ月足らずでここまでの規模を作ることができたのは、国民が大きな声を上げて、それを自民党議員が党本部や政府に伝え、動かしたからです。国民の声が政権を動かし、財務省も従わざるを得なかったのです。正しく民主主義が機能した、議院内閣制が少しその機能を取り戻したと言えるのではないでしょうか。

しかし、まだまだ戦いは続きます。

政府の支援が遅く、また小さいために経営的に苦境に陥っている企業や国民は本当にたくさん存在します。力不足をお詫びいたします。

足りない部分は引き続き声を上げて、できるだけ応えられるように、引き続き尽力して参ります。


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