財政再建に関する特命委員会 ~2020年以降の経済財政構想小委員会~
中間取りまとめについて
私は現在、「財政再建に関する特命委員会」(稲田朋美委員長)の下に設けられた「2020年以降の経済財政構想小委員会(橘慶一郎委員長)のメンバーとなり、毎週水曜日に、将来の日本の経済・財政、特に社会保障のあり方について限られたメンバーで議論しています。
この「財政再建に関する特命委員会」は、これからの日本の財政再建の道筋をどうつけていくかについて議論する委員会です。私はこのメンバーに入れてもらえるように先輩議員にお願いしていたのですが、残念ながらこの委員会には入れず、若手で議論することになった「2020年以降の経済財政構想小委員会」の方に加えて頂くこととなりました。
この小委員会は、〝高齢者ばかりが社会保障で優遇されていて、若手層や子育て世代にも配慮すべき〟という考えから小泉進次郎衆院議員が事務局長となって立ち上がったものです。
4月13日に、その中間取りまとめが発表されました。私としては、この中間取りまとめの内容は大いに不満があります。しかし、私以外のメンバーは絶賛している意見が多く、この内容で公表されることとなりました。発表された内容は、要約すると次の通りです。
「レールからの解放 ――これまでの決まりきったレールを走り、レールからはずれたらやり直しがきかないような世の中ではなく、レールにしばられない自由な人生を皆が送れる世の中にしていこう。政治がその〝レール〟をぶっ壊していく。もっと自由に生きていける日本を創るために。」
というような内容です。
私は、この内容になぜ反対をしたか。私は、日本の閉塞感は、レールに縛られて自由に生きていくことが出来ないから閉塞感があるのではなく、レールがどんどん細くなってしまって一部の人しかレールに乗ることが出来ず、多くの人が先行不透明な中で生きて行かざるを得ないので明日に対して、将来に対して皆が不安を感じている。そのことが全体としての閉塞感につながっていると思っています。いま政治に求められているのは、レールを壊すことではなく、皆が乗れるような太いレールを作ることだと思います。
このことを会議でも再三発言をしてきましたが、多勢に無勢で一人だけの反対意見ではなかなか通してもらうことができません。
しかし、私が次のような発言を繰り返しているうちに、少しずつですが私の意見に耳を傾けてくれる議員は増えてきているように思います。発言してきたのは、次のようなことです。
「〝レールをぶっ壊す〟というのは、今までずっと自民党がやってきた規制緩和・自由化と同じ発想であり、全く新しい発想ではなく、これこそ凝り固まった古い考え方から脱却出来ていない。
〝規制緩和・自由化=善いこと〟という20年間世界で流行したことをまだやり続けるということだ。この考え方から抜け出すことが、今、求められていることなのではないか。
政治の役割は、国民に職を与え、安心を与えること。それが国全体の治安も含めた社会全体の安定につながる。レールをぶっ壊すというのは、それと正反対のメッセージになる。だから、そんなメッセージを出すべきではない。」
そして、私だったら中間取りまとめでは、このような文章にするという提案を出しました。こういった意見を繰り返し発言し続けることによって意見を同じくする議員が増え、政策に反映することが出来るように努力していきたいと思います。
残念ながら日の目を見ることはありませんでしたが、参考までに次にその提案を載せておきます。私ならば、若い世代に向けて、次のようなメッセージを発信します。
財政再建に関する特命委員会
2020年以降の経済財政構想小委員会
取りまとめに向けての提言
衆議院議員 安藤 ひろし
世界はいま、大きな歴史の転換期にある。
東西冷戦が終息し、共産主義陣営に資本主義陣営が勝利した。米国が文字通り世界一の超大国・覇権国として君臨し、自由主義・資本主義の下に世界は平和で繁栄の途をたどるかに見えた。
しかし、今や米国の国力は低下し、国内の貧富の差は拡大し、国外に対して世界の覇権国たる役割を果たすことはできなくなっている。
ヨーロッパは、EU統合により経済的に発展するかに見えたが、むしろEU域内での貧富の差、富の偏在が顕著となり、どのような経済危機が発生するかわからない極めて不安定な状態にある。
中東も中国も然り。テロ、難民、移民問題。世界はまさに混迷の時代を迎えている。
そんな中で、日本はどうか。
格差が拡大したとは言え、米国等と比較すればまだまだ貧富の差は大きくない。GDPの規模は今でも世界第三位にある。また、世界一の債権国でもある。
治安は良く、国民は勤勉で礼儀正しく、災害時にも秩序正しい行動をする国民性。ノーベル賞を獲得出来るほどの高い科学技術力を持ち、何よりも神話の時代から連綿として続く、世界で最も長い歴史のある国である。
世界から見たら、日本は「奇跡の国」なのだ。
私たちは、このことを再確認すべきである。
今、我々が為すべきことは、世界で最も歴史ある国、最も裕福で最も格差が少なく、最も治安の良い国が、何故そのような国を作ることができたのか、その理由を深く考察することである。そして、誰もが豊かで勤勉で、安心して暮らすことができる国を作り、世界の人々に理想の国、夢の国を見せることである。混迷の時代を迎えている世界の人々に、希望を与えることである。世界は、世界最古の国・日本に、その役割を求めている。
最近の日本は、この日本の強さを見失い、自信を喪失しかけている。
自信を持とう。そして、世界に対して、日本の旗を堂々と掲げよう。世界が模範としたくなるような日本を皆の力で作り上げよう。
それをするのは、これからの世代の若い日本人である。
-「ひろしの視点」第20号(2016年4月)より-
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