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衆議院議員 税理士 あんどう裕

ひろしの視点

HIROSHI’S POINT OF VIEW

ひろしの視点

2016/06/08

本当の子育て支援とは

京都3区が今回のような事態となってしまい、大変残念に思っています。宮崎氏の議員辞職により、男性国会議員の育児休業についての議論はすっかり無くなりました。

私自身の見解では、国会議員は労働者ではなく、24時間365日が勤務時間であり、その中でどのように個人的な時間をやり繰りしていくかは、全て各議員の裁量に任せられていると思います。

ちなみに、衆議院規則では休暇については次のような規定しかありません。

  • 議員が事故のため数日間議院に出席できないときはその理由を附した日数を定めて、予め議長に請暇書を提出しなければならない。
  • 議員が事故のため出席できなかったときは、その理由を附し欠席届を議長に提出しなければならない。
  • 議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。

この最後の規定が、女性国会議員が出産するときに利用できるように定められているものです。これ以外は、企業の就業規則に定められているようなものではなく、手続きを規定しているに過ぎません。自営業者の皆さんに休暇や休業が無いように、私たちにもそれは当てはまらないのです。

宮崎氏がこの問題を言い出したとき、私は自分の考えを本人には伝えました。国会議員には育休の概念自体がなじみなせん。育休問題が大きくなればなるほど、このことが知れ渡っていき、抜き差しならない事態になるのではないかと心配しておりましたが、今回は思ってもいなかった決着となりました。

この手の問題は、私たちが少しでも疑問を投げかけると「育児に理解がない」「頭が固い」「育児を女性に押しつけるのか」といった批判がすぐ飛んでくるので、なかなか賛成する意見以外が言いにくい世の中であるような気がします。私自身も二人の子どもを育ててきましたし、それなりに育児協力もして来たと思います。その上で意見を言っているつもりなのですが、難しいですね。

私が、会計事務所を経営しているとき、職員に子どもが産まれました。その職員は男性でしたが、奥さんも同業の税理士で、別の事務所で働く共働きの家庭でした。奥さんは産休から 明けると、お子さんを保育園に入れて働き始めました。私もこの奥さんは良く知る人ですが、とても仕事が好きで、また良くできるとても有能な人です。

子どもは保育園に預けても、すぐ熱を出したり風邪を引いたりして、休まなくてはいけなかったり、電話がかかってきて引き取りに行かなくてはならなかったりします。子どもは病気をするのが仕事みたいなところもありますから、これは止むを得ないことです。この二人は、協力し合いながら、お互いに時間の取れる方が仕事を休んで子どもを引き取りに行っていました。私も、どんどん休んで良いから子どものために行ってあげなさいと言っていました。もちろん、その間の仕事は他のメンバーでサポートするのですが、他のメンバーも嫌がらずに仕事のフォローをしてくれました。

私は、子育てにやさしい社会とは、こういう社会を言うのではないかと思います。保育所を作り、病気になったときのために病児保育を引き受け、さらに病後児保育が出来る環境整備をすることが子育て支援とは思えません。子どもが病気などで心細いときに、親が寄り添ってあげることができる環境を整備することこそが、本当の子育て支援だと思います。

そのためには、ある程度社会全体のゆとりが必要です。

一人も余剰人員がなく、全員が朝から晩まで一心不乱に働いている社会は、ある意味異常ですし、人間はそんな社会では生きていくのが非常につらいと思います。

子育てにやさしく、人間の生きやすい社会とはどのような社会だろうか。少なくとも利益至上主義ではない、社員の生活向上にも配慮した形での雇用環境、社会整備が求められています。

-「ひろしの視点」第18号(2016年2月)より-