カルロス・ゴーン氏逮捕の衝撃

日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏が逮捕されました。世界を揺るがすトップニュースとして世界中に報じられました。私自身もこのニュースを聞いたときは本当に驚きました。

あれほどの大企業で、経営者の報酬を正しく開示しないということはあり得ないと、今でも思います。実際に犯罪行為があったのかどうかは、いま捜査中ですから論評するのは差し控えます。ここでは、ゴーン氏という経営者が登場したことによって、日本の上場企業経営に大きな影響があったことを論じてみたいと思います。

ルノーに救済された頃の日産自動車は、確かに経営不振にあえぎ、どこも救済の手を差し伸べていない状況でした。「技術の日産」というブランドにおぼれ、経営改革もできないままに経営が悪化し続けるという状況であったのは事実でしょう。そこにルノーが名乗りを上げて、経営者として乗り込んできたのがゴーン氏でした。瞬く間に経営を立て直し、業績をV字回復させて世間を驚かせました。日産の救世主として社内外問わず尊敬され、求心力を強めました。ルノー本体においても評価は上がり、経営中枢として信頼される経営者となりました。

企業の業績をV字回復させるためによく使われる手法は、まず含み損を抱えている固定資産の売却、固定資産や在庫の評価損を行い、新経営者が就任した年には大赤字の決算にして徹底的に資産のスリム化を図る。つまり、過去のお荷物となっていた資産を整理して身軽になり、資産も売却できるものは売却して負債の返済に充て、次年度に備えるのです。この貸借対照表のスリム化を行うことが経営改善の第一歩となります。資産を縮小することは、翌年度以降の費用を削減する効果があります。

また、損益改善としては、取引先にも大幅なコストカットを頼みやすい状況であり、社員の解雇などリストラもやりやすい状況です。いわば経営危機を利用し、外国人による会社買収という劇薬を飲むことによって会社の体質を劇的に改善したのです。ゴーン氏は「コストカッター」とも呼ばれるように、非常に厳しくコスト管理を行っていたことは想像に難くないところです。

このコストカットの手法は、他の大企業に大きな影響を与えたものと思います。そして、親会社のルノーに多額の配当を支払い、自身も巨額の報酬を受け取ることとなります。

これらが、株主配当と役員報酬の大型化、株主中心の資本主義へと日本企業が変化していった大きなきっかけとなりました。取引先や従業員に対する支払いはできるだけ安く。配当は大きく。優秀な経営者にはそれにふさわしい報酬を。一つひとつの言葉は、経営理論的には「その通り」と思うものの、社会全体で見ると、経済の停滞をもたらし、格差の拡大を招く「新自由主義」の弊害が発生してしまうのです。

かつての日本型経営は、そうではありませんでした。以前の〝ひろしの視点〟でも紹介したソニーの前身、東京通信工業の設立趣意書にはどのような記述がされているか。以下に一部抜粋してみます。

東京通信工業株式会社設立趣意書 [抜粋]

1946年(昭和二十一年)1月、ソニーの創業者の一人、井深 大(最高相談役)が起草した。

一、不当なる儲け主義を廃し、あくまで内容の充実、実質的な活動に重点を置き、いたずらに規模の大を追わず

一、従来の下請工場を独立自主的経営の方向へ指導・育成し、相互扶助の陣営の拡大強化を図る

一、会社の余剰利益は、適切なる方法をもって全従業員に配分、また生活安定の道も実質的面より充分考慮・援助し、会社の仕事すなわち自己の仕事の観念を徹底せしむ。

東京通信工業株式会社は、1958年(昭和三十三年)社名を現在のソニー株式会社に変更

利益は取引先にも従業員にも、適切に配分することが明記されています。株主配当の最大化や経営者報酬の最大化はうたわれていません。

ゴーン氏の登場が象徴的であったと思うのは、このような理念に基づく日本型経営が否定されて、欧米型の株主利益追求型の経営が推奨されるようになる転換期に登場した外国人経営者であったということです。日本企業が経営不振に陥っていた時にその不振を劇的に改善し、その経営手腕が評価され、他の企業の模範とされました。日本型経営は古い。日本人じゃだめだ。欧米人は優れている。新しい欧米型の経営に変わらなくてはならない。ほんの少し前までは「ジャパンアズナンバーワン」と言っていたのに、一気に逆の発想に転換していったのです。

この経営者の発想の転換と政府の緊縮財政が相まって、日本の長期停滞、デフレ不況が継続する大きな要因となりました。失われた20年、そして就職氷河期を生み出してしまい、第三次ベビーブームを起こすことが出来ずに、現在の人口減少社会となってしまう結果となっています。

これらの発想を転換し、利益は適切に関係者に配分し、未来への投資と社会に還元することが必要なのです。かつての日本企業がもっていた社会に貢献し従業員の生活を守る企業の思想を取り戻してもらいたいと切に願っています。

-「ひろしの視点」第51号(2018年11月)より-

内閣府兼復興大臣政務官を拝命しました

vol50-1この度の内閣改造において、内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官を拝命することになりました。初めての政府入りになります。責任の重さに身の引き締まる思いがいたします。新しい職務で微力ながら日本国の発展のため、京都のために力を尽くしていきたいと思います。

復興庁は、読んで字のごとく災害からの復興を担当する役所です。とは言うものの、日本全国の災害復興を目的にしているわけではありません。「最近は災害が多いから大変だね。北海道や西日本豪雨の現場もいくの?」ということをよく質問されますが、復興庁は「東日本大震災からの復興」に特化している役所なので、残念ながらその他の災害復興には関与していません。

東北の被災地は、まだまだ復興の途上にあります。着任後、特に担当する岩手県の被災地を視察して参りましたが、京都にいては分からない巨大災害からの復興の難しさを実感しました。陸前高田市などは、やっと海岸沿い土地のかさ上げ工事が終わり、市街地の復興はまさにこれからという段階です。希望を持てる復興ができるように尽力して参ります。

vol50-2また、内閣府という役所は、業務内容についてなかなか説明し辛い役所です。省庁横断的な業務を担当しているので、その内容も多岐にわたります。私の担当する職務も、大きく分類しても20の分野があります。分かりやすいところでは、少子化対策、科学技術イノベーション、消費者庁などですが、そのほかに拉致問題、沖縄基地負担軽減、領土問題、沖縄・北方、宇宙政策、海洋政策、行政改革など、極めて多岐にわたり、説明を聞くだけでもかなりの時間を要しています。

業務内容を把握するだけでも大変ですが、皆様の期待に応えられるように微力ながら精進して参ります。

-「ひろしの視点」第50号(2018年10月)より-

北海道地震による全道停電の衝撃

北海道胆振東部地震が発生し、大きな被害が発生しました。また、北海道の全道が停電し、今の日本でもこんなことが起きるのかと愕然としました。季節が夏だったのでまだ良かったのですが、これが厳寒の北海道の冬季に発生していたらと考えると背筋が凍る思いがします。

その後の新聞記事等を読んでいても、泊原子力発電所が停止しているので、火力発電に頼らざるを得ないこと。火力発電も、老朽化した発電所を再稼働してなんとかやりくりしていたこと。原発が再稼働すれば一気に供給不足は解消するので、新規の火力発電所の投資はおろそかになっていたこと。太陽光など再生可能エネルギーは、まだまだ頼れる電源としては考えられないことなど、いろいろ指摘されています。

vol49-1今でも北海道の電力は急ピッチで復旧しているとは言え、ピーク時の電力需要に対応するだけの供給力は回復していません。原発が再稼働すれば一気に解決しますが、原発再稼働の新安全基準の手続き上、もう少し時間がかかるようです。厳冬期までに供給力を回復しなくては、北海道に住む国民の生活をまさに脅かすことになります。復興にも悪影響が出てきます。

これによって、我々は何を考えるべきか。この地震の直後、北海道電力は送配電部門の分社化を発表しました。これは、電力自由化が法律で決められ、その一環で発送電分離が義務付けられたので、その法律に基づき実施されるものです。今回の地震とは関係ありません。

しかし、今回の地震で指摘されたように、泊原子力発電所が停止している中でも新規の火力発電所の投資が進まなかったのは、まさに電力自由化が決められていたため、原発さえ再稼働すれば、当面無駄になる新規火力発電所を建設する理由が北海道電力にはなかったこと。新しい設備投資をするよりも、老朽化した発電所をとりあえず動かして、原発が再稼働したら老朽化した火力発電所を停止するほうがコストが安くなることは容易に想像できます。新電力とのコスト競争をしなくてはならない中で、非常時にしか使わない火力発電所を建設する理由が見当たらないのです。

電力自由化をせずに、北海道電力が地域独占で、責任をもって全道に供給する。そのためのコストは、確実に電気料金で回収することができる「総括原価方式」が残っていれば、「一見無駄な火力発電所の建設(実は非常時には必要な大切なもの)」という投資もすることができたでしょう。このような非常時の為の投資がおろそかになることは、発送電分離の議論がされていた時にも指摘されていたことです。

vol49-2また、今回の地震で全道停電にはなりましたが、復旧も急ピッチで進んでいます。これは、まだ発送電分離が実施されず、全道供給義務の責任感が北海道電力に残っているからです。これから発送電分離が進めば、「自分がやらなくてもだれかがやるだろう」「自分が復旧まで責任を持つ体制にすると、それだけ無駄な人員・設備と持たなくてはならない。コスト競争力も落ちてしまうので、それはやらない」という考え方をする電力会社も増え(当然の考え方だと思います)、結果的に災害時などの停電からの復旧が遅々として進まなくなる。そうなるのも自明ではないかと思います。

そう考えると、今進められている電力自由化・発送電分離も、もう一度立ち止まって考える良いきっかけをもらったと言うべきではないでしょうか。

北海道の場合、本州とは比べものにならないほどの厳冬期があります。ここを乗り切るのに、電力抜きには考えられません。安定した電力供給があってこそ、北海道も復興し発展するのです。このような発展の基盤となるインフラを安易に自由化すべきではありません。

-「ひろしの視点」第49号(2018年9月)より-

あんどう裕と語る会in和束町のお知らせ12/15(土)19:00~

あんどう裕と語る会のお知らせです。

★あんどう裕と語る会 in 和束町
 日時:平成30年12月15日(土) 19:00~20:30
 場所:和束町商工会館
 電話:0774-78-3321

★あんどう裕と語る会 in 南山城村
 日時:平成30年12月16日(日)18:30~20:00
 場所:南山城村本郷コミュニティセンター
 電話:0743-93-0880

入場無料・事前連絡不要です。
当日直接会場にお越し下さい!

あんどう裕と語る会in宇治市のお知らせ11/17(土)18:30~

あんどう裕と語る会のお知らせです。

★あんどう裕と語る会 in 宇治市
 日時:平成30年11月17日(土) 18:30~20:00
 場所:ゆめりあうじ 4F 第1研修室
    宇治市宇治里尻5-9
 電話:0774-39-9377

★あんどう裕と語る会 in 和束町
 日時:平成30年12月15日(土) 19:00~20:30
 場所:和束町商工会館
 電話:0774-78-3321

★あんどう裕と語る会 in 南山城村
 日時:平成30年12月16日(日)18:30~20:00
場所:南山城村本郷コミュニティセンター
 電話:0743-93-0880

入場無料・事前連絡不要です。
当日直接会場にお越し下さい!

あんどう裕と語る会in京田辺市のお知らせ10/27(土)18:30~

あんどう裕と語る会のお知らせです。

★あんどう裕と語る会 in 京田辺市
 日時:平成30年10月27日(土) 18:30~
 場所:京田辺市中央公民館 1F 研修室1
 京田辺市田辺丸山214
 TEL : 0774-62-2552 

★あんどう裕と語る会 in 宇治市
 日時:平成30年11月17日(土) 18:30~
 場所:ゆめりあうじ
    宇治市宇治里尻5-9
 電話:0774-39-9377

入場無料・事前連絡不要です。
当日直接会場にお越し下さい!

あんどう裕と語る会 in 精華町のお知らせ9/29(土)18:30~

9月と10月のあんどう裕と語る会のお知らせです。

★あんどう裕と語る会 in 精華町
 日時:平成30年9月29日(土) 18:30~
 場所:かしのき苑大ホール
 相楽郡精華町南稲八妻砂留22番地1
 電話:0774-94-5200

★あんどう裕と語る会 in 京田辺市
 日時:平成30年10月27日(土) 18:30~
 場所:京田辺市中央公民館 1F 研修室1
 京田辺市田辺丸山214
 TEL : 0774-62-2552 
 

入場無料・事前連絡不要です。
当日直接会場にお越し下さい!

8/10 日本の未来を考える勉強会 提言書「〝自然災害大国〟における国土強靱化“投資”の財政措置に関する緊急提言」をアップしました。

本日、西村康稔内閣官房副長官に申入れた提言書をアップしました。

自然災害大国における国土強靱化投資の財政措置に関する緊急提言

〈参考資料1〉我が国における近年の主な自然災害

〈参考資料2〉土木学会緊急提言

防災投資の拡大が必須 ~財源は国債を活用~

7月初旬の西日本一帯を襲った豪雨は平成最大の被害をもたらしました。

vol47_1京都でも北部では大きな被害が発生しました。先日の大阪北部地震と今回の豪雨災害。さらにこれから台風シーズンを迎えるわけで、今年は自然災害の多い年と記憶されるかも知れません。
近年の雨の降り方は確実に激しくなっています。一時間あたり降水量80ミリ以上の雨の降り方のグラフ(図1)を見て下さい。

ご覧のとおり、確実に回数が増えています。同様に100ミリ以上の雨の降り方は1.7倍になっている。「想定外」という言葉をよく聞くようになりましたが、そういう雨の降り方は確実に増えているということです。

vol47_2しかし、それに対して治水関係予算は増えるどころか半分以下になっています。(図2)
これでは、日本人の安心・安全を守ることは出きません。公共事業悪玉論が、本来であれば最も重視しなくてはならない「国民の生活を守ること」をおろそかにしているのです。

さらに、これらの投資はやっていて効果が出ても目に見えないので「感謝されない」そして災害がなくて「あたりまえ」と感じるものです。目に見えないので、必要性が分かりにくい。確かに豪雨がなければ「無駄」でしょう。さらに、治水投資をして生活の安心を守られたとしても、治水事業をやっていたから大丈夫だったのだと考えてくれる人はほぼ「皆無」だと思います。でも、これらの事業はやらなくてはなりません。

こういう「感謝されない」しかし「やらなくてはならない」仕事をしてきたのが、官僚であり、建設事業者です。そして、これらの仕事の必要性を説明し、予算を確保するのは、政治家の仕事です。最近はこのような仕事をする政治家が絶滅して「公共事業は無駄」「ばらまきをやめろ」というスローガンばかりがもてはやされる時代になってしまいました。

このような地味な仕事を確実に計画的に実行することが必要です。何よりも、国民生活の安心安全を守り、同時に経済を活性化させ、デフレから脱却するための原動力にもなり、地方創生にも間違いなく効果があるのです。これらの仕事を確実に実行できるように、財政出動ができる政策に方向転換する必要を改めて感じました。

以前から私は、〝国債を積極的に活用して公共事業の拡大をすべき〟と主張してきましたが、今回の災害を受けて、新しく「日本の未来を考える勉強会」でも提言を取りまとめる予定です。国民の安心安全を守り、デフレからの完全脱却に向けて引き続き尽力して参ります。

-「ひろしの視点」第47号(2018年7月)より-

あんどう裕と語る会 in 八幡市のお知らせ8月6日(月)19:00~

8月と9月のあんどう裕と語る会のお知らせです

★あんどう裕と語る会 in 八幡市
 日時:平成30年8月6日(月)19:00~
 場所:八幡市文化センター
八幡市八幡高畑5-3
 電話:075-971-2111

★あんどう裕と語る会 in 精華町
 日時:平成30年9月29日(土)18:30~
 場所:かしのき苑大ホール
 相楽郡精華町南稲八妻砂留22番地1
電話:0774-94-5200

入場無料・事前連絡不要です。
当日直接会場にお越し下さい!

あんどう裕と語る会 in 宇治市のお知らせ7月28日(土)18:30~

7月と8月のあんどう裕と語る会のおしらせです。

★あんどう裕と語る会 in 宇治市
 日時:平成30年7月28日(土)18:30~
 場所:ゆめりあうじ
    宇治市宇治里尻5-9
電話:0774-39-9377

★あんどう裕と語る会 in 八幡市
 日時:平成30年8月6日(月)19:00~
 場所:八幡市文化センター
八幡市八幡高畑5-3
    電話:075-971-2111

入場無料・事前連絡不要です。
当日直接会場にお越し下さい!

外国人の受け入れと日本人の賃金

骨太の方針では、外国人受け入れの拡大も明記されました。私は、この方針には明確に反対していきたいと思っています。

今、日本の経済は〝好調である〟ということになっています。しかし、好調なのは大企業の業績だけで、中小企業の利益が伸びているかといえば、確かに仕事は増えているものの利益はほとんど伸びていない。また、働く人の賃金も伸びていないのが現実です。実際、昨年の実質賃金の伸びはマイナス0・2%。名目賃金は少し上がったものの物価上昇がそれよりも上回ったために、実質的な手取りは減少しています。これでは景気が良いなどとは口が裂けても言えません。

なぜ賃金が伸びないのか。最近いろいろ考えるのですが、まず考えられることは、30年近くにおよぶ不況のおかげで、賃金は上がらないのが当たり前になってしまったことが大きな要因ではないかと思います。しかし、良い人材を採用しようと思ったら、高い給料を提示するのは当たり前です。特に最近は人手不足で、売り手市場と言われています。有効求人倍率も上昇して全国平均で1・6倍ほどとなり、失業率も下がり続けて2・5%と低水準になっています。

本当であれば、これだけ失業率が低ければ賃金が上昇するのが当然です。しかし、賃金は上がらない。なぜなのか。

過去の有効求人倍率と失業率の推移を調べてみました。驚きました。

高度経済成長の頃の失業率は、なんと1%台。バブルが崩壊してからは3%、4%、5%とひどい状況が続きますが、高度経済成長している時は、まさに「超人手不足」だったのです。だからこそ賃金も上げざるを得ないし、賃金が上がるから個人消費も伸び、さらに経済が好調になるという、現政権が目標としている「経済の好循環」が起きていた。これはこの時の1%台という「超低失業率」に起因するのではないかと考えています。

そう考えると、今の失業率はまだまだ高い。さらに最近は女性や高齢者が働くようになっているので、労働者はどんどん増え続けています。人口減少社会だから・・・というのは実は間違いで、今の日本では働く人は増え続けているのです。

そこに外国人を入れたらどうなるか。今のところ、日本よりも経済的に小さな国から来ている方々がほとんどです。日本では低賃金であっても母国の基準で考えれば高賃金ですから、日本人と同等の賃金が保証されれば喜んで働きます。外国人の雇用を容認することによって、結果として、日本人の経営者は低賃金で労働者を雇用することができる。経営的には楽になりますが、日本人の賃金アップには繋がらない。そうすると、かつての高度経済成長期のような、賃金上昇によって個人消費が拡大し、それが更なる好景気を呼ぶという経済の好循環が起こらない。いつまでもデフレ不況から抜けきれない
という流れになっているのではないでしょうか。 すでに日本は外国人受け入れ数が39万人。世界第四位の移民大国になっています。せっかく賃金上昇の好循環が起きようとしているのに、ここで外国人を入れて失業率を上げてしまってはダメなのです。日本人の賃金はこの後全く上がらない、ということになってしまいます。

しかし、経営者が低賃金で雇用をしなくてはならない事情もあります。例えば、農業でも最近は外国人の就労が増えています。日本の農産物は基本的に輸入が自由化されていますから、海外からの安い農産物が大量に入ってきます。これに対抗するためには、人件費も極力抑えなくてはなりません。高い日本の人件費ではとても競争に勝つことができない。安い賃金しか提示することができずに、その賃金で来てくれる外国人に頼らざるを得ない。そんな状況があるのではないかと思います。

また、建設業にも外国人は増えています。建設業も労務単価が他産業の平均に比べて100万円も安い。本当は賃金を上げて募集をするべきなのでしょうが、ご承知のとおり、建設業はずっと叩かれ続け、徹底的な競争になっているのでできるだけ原価を抑えなくてはならないという状況にあります。公共事業の労務単価も、ももっと上げるべきなのでしょうが、例のPB黒字化目標のために上げられません。その結果、日本人の若者は建設業に就かず、外国人に頼ることになっています。

他にも、今回の骨太の方針で外国人の受け入れ拡大の対象になっているのは、造船・介護・観光などが挙げられています。

私は骨太の方針の決定前の自民党の会議の中で、「安い賃金のままで日本人を雇用しても来ないから外国人を入れるというのは問題である。まず日本人の賃金を上げる努力をするべきだ。」と主張しました。その結果、骨太の方針には新たな在留資格による外国人材の受け入れは、「生産性向上や国内人材の確保のための取組(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等)を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受け入れが必要と認められる業種において行う。」という文言になりました。

ただ、外国人受け入れの流れは相当強いものになっています。自民党議員も、ほとんどが「人口減なので受入れやむなし」あるいは「受け入れを積極的に行うべき」という主張をしています。

しかし、人口減と言っても、今の日本は徐々に人口が減っているだけで、急激に人口減少社会になっているわけではありません。人口減が急いで外国人を入れなくてならない理由にはなりません。

それよりも人口減を止めるために必要な政策は、日本人の給料を上げることであり、結婚できて子育てできるだけの先行きの見通しを立てられる社会をつくることだと思います。人が足りないから外から連れてきて穴埋めしようというのはあまりにも安易な発想ではないでしょうか。

また、安全保障上の問題も大きいと思います。建設業にしろ農業にしろ造船にしろ、私たちの生活には欠かすことのできない大切な産業です。これらの産業に関わる中心的な人物が外国人になったら、私たちの生活の基盤を外国人に委ねることになります。

特に、先日も大阪北部で大きな地震がありました。京都での被害もありましたが、大規模災害が発生した時に、外国人が日本に残って復旧作業に当たってくれるかと言えば、それは難しいと考えておくべきでしょう。外国人の皆さんは、生活費を稼ぐために日本に来ているのであって、危ないところで命がけで働く義理はありません。むしろ、家族のために母国に帰るのが当然の選択です。災害大国の日本で、これから首都直下型地震や南海トラフ地震が確実にやってくると予想されている中で、一生懸命外国人技術者を育成しても、いざというときには皆いなくなってしまい、結果的に事業の継続ができずに廃業に追い込まれる。そういうことも想定しておくべきではないでしょうか。

まず政治の立場からできることは、公的なものの労務単価をできるだけ引き上げること。そして長期の安定発注を予測できるような長期計画を策定し、公表することであろうと思います。農業であれば、海外の安い農作物に対抗できるような農業支援予算を充実させて、日本人を雇用できる環境を整えることです。賃金を上げても大丈夫という安心感を経営者に持ってもらうことが必要だろうと考えています。

もう一つの論点は、上場企業の経営姿勢です。今の上場企業はあまりにも短期利益志向が強く、株主還元を重視し過ぎています。上場企業の利益は過去最高になっていますが、増えているのは配当金や自己株取得ばかりで、協力会社への支払いや人件費に向けられていません。かつての日本企業は、株主中心の経営ではなく、日本国の再興のために経営していたように思います。当然、短期利益を追求するばかりではなく、長期の発展を見据えてさまざまな投資をしてきました。その投資には、人材育成、協力会社育成もあったのです。大企業だけでなく、協力会社も従業員も共に栄える企業体を目指していたと思います。そのような慣行が「日本型経営はいけない」という風潮のなかで否定され続け、株主資本主義が蔓延しています。

また、長く続くデフレ不況のおかげで、コストカット経営がもてはやされるようになりました。今の大企業の経営者たちは、みな「コストカット」で出世してきた人たちばかりです。未来への投資ではなく、人件費削減、外注費削減、コスト削減のための海外移転。それがもてはやされ評価される時代が続きました。これも給料が上がらない、中小企業が儲からない一つの原因であると思います。

ヨーロッパでも、移民問題は深刻になっています。多文化共生とか外国人を差別するなという反対しにくい理由を述べる人も大勢いますが、人間の感情を無視してはいけません。ヨーロッパ各国は確実に移民を入れ過ぎて失敗しています。米国でさえ、メキシコ移民の問題でトランプ大統領は苦労していますし、米国で人種問題が再燃しかけているのは周知の事実です。これらの国が移民問題に政治的、社会的に莫大なコストをかけていることは皆よく分かっているはずです。世界各国が苦労しているし、日本人の賃金上昇に歯止めをかけてしまうという意味でも、外国人の受け入れは慎重にしなくてはなりません。

また、入ってくるのは親日感情を持つ人たちばかりではありません。日本に悪意を持っている人たちも当然入ってくると考えるべきです。まさに安全保障の問題になってきます。

これから外国人が増えていけば、外国人参政権の問題は必ず大きな政治課題になるでしょう。ただでさえ、平等意識の高いメディアからは、推進の声が上がるでしょう。おそらくその声には抗えません。そうなると政治にも外国人が入ってくることになります。

そして、今の出生率のまま推移するとなると、二世代ほど後の日本列島は、日本人ではなくて、〝ニッポンジン〟を名乗る全く別の人たちが中心になって住む国になっていることでしょう。これらの未来を予想しながら、それでも外国人受け入れを拡大するのか。慎重な議論が求められます。

-「ひろしの視点」第46号(2018年6月)より-

出演情報~7/1(日)東京MXテレビ「激論!サンデーCROSS」

7月1日(日)11:59~13:25 TOKYO MXテレビ
「激論!サンデーCROSS」(生放送)に出演します。

消費税10%へ~日本経済はどこへ行くのか?~
骨太の方針の閣議決定を受け、デフレ脱却、財政健全化等の視点を織り交ぜながら、消費税論を熱く展開します!

ゲスト:亀井静香(前衆議院議員)
   藤井聡(内閣官房参与・京都大学大学院教授) 他

*東京以外で視聴の場合は、PC・スマホでテレビが見られるアプリ「エムキャス」をダウンロードして下さい。

あんどう裕と語る会 in 井手町のお知らせ6月30日(土)18:30~

あんどう裕と語る会のおしらせです。

★あんどう裕と語る会 in 井手町
 日時:平成30年6月30日(土)18:30~
 場所:井手町商工会館
    綴喜郡井手町井手橋ノ本14-3
 電話:0774-82-4073

★あんどう裕と語る会 in 宇治市
 日時:平成30年7月28日(土)18:30~
 場所:ゆめりあうじ
    宇治市宇治里尻5-9
電話:0774-39-9377

入場無料・事前連絡不要
当日直接会場にお越し下さい。

日本の未来を考える勉強会 提言Ver.2をアップしました

あんどう裕主宰「日本の未来を考える勉強会」提言
「デフレ不況から完全に脱却し、日本経済を成長路線に乗せると同時に、
財政再建を果たすために必要な財政政策に関する提言~思い切った財政出動を~(Ver.2)」をアップしました。

H30年度 日本の未来を考える勉強会提言書〈最終版〉