ひろしの視点

アジアインフラ投資銀行[AIIB]に、日本は参加すべきか

中国が主導するアジアインフラ投資銀行、いわゆる「AIIB」について、日本は米国と共に参加を見送ることとなりました。英国をはじめ、G7の主要国も参加表明をする中、日本が参加を見送ったことについて、国内でも賛否が分かれています。

私は、このAIIBには当面参加する必要はないと思います。AIIBより以前に、アジア開発投資銀行(ADB)がありますし、日本はこのADBにおいて、既に主導的役割を担っています。

しかも、AIIBは中国が50%の出資をし、意思決定過程も今のところ相当程度不透明です。中国という国のこれまでの行動を見ても、公明正大に運営が行われるかどうかについては、甚だ疑問を感じざるを得ません。

実は、中国の誤算は、米国も日本もこのAIIBに参加をしてこなかったというところにあると思います。日米抜きで大きな出資をしてくれる国は、「皆無」だからです。特に日本は、国連に対する拠出金の割合を見ても分かる通り、国際協調の案件には相当の金額を負担している傾向があります。中国もそれに期待していたことは間違いありません。最も、米国が入れば日本も参加するだろうと高を括っているだけかも知れませんが・・・。

いずれにしろ、今のままのAIIBの体制では、参加する必要はありません。下手に参加して、日本の出資した金を利用したAIIBが、中国企業に有利な融資をし、アジアのインフラ輸出はAIIBの融資を受けた中国企業だけが独占していくという未来が想像できます。日本国民の税金を使って中国企業の発展に資する融資が行われていくことは、現在の不透明な意思決定体制では、恐らく間違いないだろうと思うのです。

日本は、今までのADB(アジア開発投資銀行)を主導し、本当にアジアの発展に役立つ融資を主導していくべきです。そして、日本の成長戦略にもインフラ輸出は大きな項目として上がっているわけですから、ADBを利用して、日本企業の発展に効果のある融資の実行に主導的な役割を果たしていくべきです。これが本来の日本が採るべき外交戦略だと思っていますし、それができるだけの信用を、日本はADBを通して既に勝ち得ています。これを捨てる必要は全くありません。

他国が参加しているからと言って、日本も乗らなくてはバスに乗り遅れてしまうというのは、あまりに主体性に欠けると思います。

ADBこそが日本が最も主導権を握ることができ、諸外国から得ている信頼を損なうことなく(言葉は悪いですが)利用できる国際機関なのです。この視点を忘れてはなりません。

-「ひろしの視点」第8号(2015年04月)より-


「ひろしの視点」掲載記事一覧