ひろしの視点

平和安全法制の成立にあたって

皆様にご心配を頂きました平和安全法制も、何とか9月19日未明に参議院で採決され、可決・成立という運びになりました。

形としては、「強行採決」と言われるものになったのはとても残念ですが、最終的には自民党と公明党に加えて野党3党も賛成に回っていただき、その意味でも「議論が尽くされず、与党のみの都合で強行採決をした」ということにならなかったので、このような対決型の法案の処理としては上出来だったのだろうと思います。

そもそも、「強行採決」という言葉には、とても不合理な採決が行われたようなイメージがありますが、法律に違反をして採決をしているわけではありません。

委員会において採決を行うか否かを決定するのは委員長の職権であり、委員長は与野党に対して公平中立な立場で議事運営を行う必要はあるものの、必要以上に議論を長びかせるような委員会運営はするべきではなく、議論を尽くした時点で採決を行う決断をするのは、委員長の責任において果たさなくてはならない重大な職務権限です。

通常の委員会運営の場合は、各委員会において、与野党から出ている理事が理事会を構成し、その理事会において与野党合意のもとに採決日程が組まれるのが慣例となっています。与野党ともに議論を尽くしたと合意をした上で採決を行うのです。ここには、原則として理事会において全会一致で議事日程を決定するという紳士協定が存在します。法律ではなく、国会運営を円滑に行うために作られた先人たちの知恵であると言うべきでしょう。

ある法案について何時間程度、質疑を行うか。参考人質疑を行うべきか否か。視察を交えるべきか否か。採決をいつ行うか。法律の修正をするか。全て、原則として理事会において協議し、与野党含めて全会一致で議事運営を決定していく。法案に対する賛否は分かれても、議事運営については与野党の合意のもとに国会を運営していくのが、通常の法案についての国会運営のあり方です。ここでは、きちんと議論がされ、法案の修正も与野党協議の中で行われていきます。本来の言論の府としての機能を国会が果たしていると言うことができるでしょう。

ところが、今回のような与野党全面対決型の法案は政局のようになってしまうので、どうしてもマスコミや有識者向けのパフォーマンス合戦のようになってしまう傾向があります(このような対決型法案がない時は、テレビ入りの予算委員会がパフォーマンスの場となりがちですが)。

こうなってしまうと、与野党で合意形成を図るというよりも、いかに党の面子を保つか、いかに自党の支持を上げるかということの方が目的として優先されてしまい、本当に国益に資する議論が行われ難くなる。そして、採決は「強行採決」という、いかにも与党が数の論理で押し切ったような演出のうちに行われる。野党は「〝抵抗〟したが法案の成立を阻止することが出来なかった」というアピールができ、与党は法案成立という実を取るという双方にとってメリットがあるということです。

いずれにしろ、法案は可決され、成立しました。

しかし、これからが正念場です。

国民の生命・財産・領土領海を守るためにはどのような準備が必要か。この「ひろしの視点」でも以前から書いている通り、まだまだ日本にはその準備が足りません。集団的自衛権の行使を容認するなら、その行使をすべきか否かを適切に判断できるだけの情報収集能力・分析能力が必要となります。イラク戦争に対して、いち早く米国支持を表明してしまったように、片寄った情報のみで判断を行ってしまったら、取り返しのつかないことになります。

米国の戦争に巻き込まれるかも知れない、との批判にも耳を傾ける必要があり、これに対する答えもきちんと用意しなくてはなりません。

憲法違反という指摘もありました。やはり王道は憲法改正をきちんと行い、自衛の備えを明確にする必要があるでしょう。自衛隊の法体系も警察法のままで良いのか、これもきちんと整理しなくてはなりません。

戦後70年間、自国の防衛を他国に依存し続けてきたそのツケはものすごく大きいと言わざるを得ません。

今回の法案の議論についても、「戦争法案」というレッテルを貼られて、全国的にキャンぺーンが行われました。誰も戦争したがっている人はいません。どのようにして国民を守っていくのか。私たちには政権与党として、責任ある政党として、現実を見据えた地に足を着けた政策を確実に実行していく責任がある。そのことを改めて強く感じています。

-「ひろしの視点」第13号(2015年9月)より-


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