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衆議院議員 税理士 あんどう裕

ひろしの視点

HIROSHI’S POINT OF VIEW

ひろしの視点

2017/06/23

「日本の未来を考える勉強会」が始動しました

あんどう裕が呼びかけ人代表を務める「日本の未来を考える勉強会」。4月12日に第一回の勉強会を開催しました。

この勉強会をどのような趣旨で立ち上げるに至ったか。自民党が政権を取り戻して4年余りが経過し、この間、安倍内閣ではアベノミクスを推進してきました。有効求人倍率はすべての都道府県で1を超え、企業業績も上向き、名目GDPも上がってきました。しかし、なかなか地方や中小企業にその恩恵が行き渡っていないのが現状です。

有効求人倍率の上昇も、生産年齢人口が減少していることが最大の要因であるとの指摘もあります。定年を迎える世代よりも、これから就職する若者の方が人口が少ないので、定年退職した人数と同じだけの採用をしようとすると、当然若者の数が少ないために人手不足となり、有効求人倍率が上がるというのです。

確かに、これも一つの大きな要因でしょう。どの企業でも、いまは「本当に人がいない」という話はよく聞きます。そう考えると、アベノミクスの成果ではなく、単に人口動態の結果生じていることであり、誰が政権を担当しても同じだということになります。

有効求人倍率が上昇すれば、当然給料を上げなくては人手が確保できないということになるので、企業は給料を上げ始めるはずです。そうすると、当然利益をそれだけ圧迫することになりますから、利益を確保するためには売価を上げなくてはなりません。そうすると物価が全体的に上がっていきます。これがデフレからの脱却であり、緩やかなインフレ状態を実現することができれば、やっと長い間日本が苦しんできたデフレからの脱却がかなうのです。

しかし、給料が上がりつつあるという状況は一部ではありますが、物価まで上がり始めたという話は聞きません。むしろ、まだ低価格への競争をしているような状態です。これでは、デフレからの脱却を果たしているとは思えません。

有効求人倍率のことを一つ取っても、このようにいろいろな検討を加えなくてはなりません。表面的な数字が上向いたからと言って喜んでいてはならない。その本当の要因は何なのかをきちんと考え、その対策を考えていかなくてはならないのです。

現在の日本は、未だにデフレ不況から脱却することができていません。自民党が政権を取り戻して4年以上が経過するのに、まだ脱却ができないということは、自民党の責任をどう考えるかという話になってきます。

幸か不幸か、今は野党がまともな政策提示をしないので、自民党の支持率は高いままですが、仮に政権担当能力がある(と国民から認められる)政党が存在するとしたら、次の選挙で自民党は間違いなく下野するでしょう。今の野党のだらしなさに大変救われている。それが今の自民党であると私は思っています。

そして、政策について意見交換する場面でも、①日本の財政が厳しいので歳出削減をすべき(緊縮財政)、②規制緩和・自由化が必要、③グローバル化は進めなくてはならない、④外国人労働者も受け入れなくてはならない──この方向性は変更なく政策が決定されていきます。しかし、バブルが崩壊してから20年間、日本の政策はこの方向で進められてきました。その結果、日本の経済は良くなったのか。答えは「NO」と言わざるを得ません。ずっとデフレ不況で、経済成長を止めたまま、他国が経済成長しているのを指をくわえて立ち竦んでいる。それが今の日本の姿でもあると言えるのではないでしょうか。

私も議員になって4年が経過しました。その間、自民党の政策も、政権を取り戻した初年度はアベノミクスの第2の矢、すなわち財政出動を行いましたが、その後は、消費増税に代表される緊縮財政、規制緩和と自由化、グローバル化と外国人労働者受け入れを推進していることは、皆様ご存知の通りです。

これでは、デフレ不況から脱却できなかった20年間の政策を継続していることになるので、まだまだ日本経済のデフレは終わらないということになってしまいます。

やはり、今までの政策を総点検し、反省すべきところは反省し、政策の修正をしなくてはなりません。しかし、先輩の議員の方々はこの方向性が正しいと信じておられるようなので、方向転換することは容易ではないように思います。それが今まで議員生活をしてきた結論です。

そこで、まず身近な衆議院二期生の同期に声かけをし、きちんと理論的に政策論争ができ、先入観なしに素直な気持ちで各講師の話を聞くことができて、その後、ざっくばらんに自由な形で意見交換ができるような勉強会を立ち上げることにしたのです。

特に、日本の財政については危機的状況にあると言われて久しく、借金が1000兆円もあると言われたら「借金の額を減らさなくては」と誰でも考えがちです。

しかし、「家計」と通貨発行権を持つ「国」とでは、借金の考え方は全く異なります。全く異質のものなのに、同質のように語られるために日本の財政が破綻するのではないかと考えてしまうのです。

やはり、政治家もしっかり勉強しなくてはなりません。そして、国民生活を豊かにするための経済政策とはどうあるべきか、思い込みではなくて理論的に考えなくてはなりません。自分が信じていたことも間違っていたら修正し、直していく謙虚な姿勢を持たなくてはなりません。そのような議員を作るような勉強会にしていきたいと考えています

どうか皆さん「日本の未来を考える勉強会」にご期待下さい。

-「ひろしの視点」第32号(2017年4月)より-