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衆議院議員 税理士 あんどう裕

ひろしの視点

HIROSHI’S POINT OF VIEW

ひろしの視点

2017/12/03

選挙に向けての私の思い

今回の選挙にあたって、私は次の思いを持ちながら選挙戦に臨みたいと考えています。

まずは「保守とは何か」という政治思想の話です。自民党は「保守政党」とされています。そして保守とは先人たちが長い時間をかけて培ってくれた「社会の常識」を大切にし、現代人の思いつきや浅薄な考え方に惑わされることなく、家族をはじめとする社会の絆を守り、社会の安定を図るもの。私はこれこそが保守主義であると考えています。

日本という国は、この保守主義が世界で最も似合う国であると思っています。日本は世界で最も歴史の古い国であり、建国以来、万世一系の天皇を戴きながら連綿と歴史を紡いできました。神話の時代から現代まで、一つの王朝が継続し、なおかつ世界有数の経済大国であり、科学技術大国であるにも関わらず、原始宗教としての山や川や木や岩に対する自然崇拝も現代に引き継いでいるこの国は、世界から見ても奇跡の国なのです。

日本人は、このことに全く気付いていませんが、私たちはこのことにもっと大きく誇りを持ち、世界に堂々と日本の旗を掲げるべきだと思います。

そのために私は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの年が奇しくも日本書紀編纂1300年の節目であることをきっかけにして、日本の神話をもう一度日本人に広く知らしめ、日本の誇りを取り戻してもらいたいと思い、新たな議員連盟の立ち上げをしたいと考えていました。突然選挙になってしまいましたが、引き続きこの活動は行っていきたいと思っています。

そして、この保守主義の考え方からすると、日本の憲法は不文憲法が最もふさわしいと私は考えています。ヨーロッパの中でもイギリスは成文憲法を持ちません。古くからの常識と積み重ねられた前例や判例を基に価値判断が行われます。

日本では成文憲法がありますが、例えば「平等」という文言が入っているために、「一票の格差」に象徴されるように「言葉の定義」が「一般常識」よりも優先されているように私には感じられます。結果的に参議院では県代表ではなく合区がなされ、自らの県の地域代表を国会に送ることが出来ない地域が生まれてしまいました。

言葉というものは定義があり、成文憲法にしておくとその定義をよほど慎重に取り扱わないと社会常識と異なる司法判断を招き、社会を混乱させることになります。

何事も「法律にこう書いてあるではないか」といわれた時に、確かにそう書いている。しかし、「常識的に考えてそれをしては駄目だろう」と思われる事案は結構あるものです。

だからこそ、司法判断をする裁判官には法律の知識以上に一般常識が求められるのです。たまに、社会の常識とは異なる判断を裁判所がすることがあります。それは、社会常識よりも法律の文言を重要視する裁判官が存在するために起きる現象であり、それが社会全体の常識を壊す作用があるので、社会の安定性が損なわれていきます。本来、法律の運用は保守主義に基づいて、言い替えれば、一般常識とか社会通念の下に成文法があるのだという考え方で行われなくてはならないのだろうと思いますが、たまに、それと異なる運用がされることがあるということです。

そして、それを最も重視しなくてはならないのは、基本法である憲法です。「憲法に様々な新しい権利を書き込みたい」「自分の考え方を新しい条文で書き込みたい」「憲法はこうでなくてはならない」そういう発言は色々とありますが、大抵のことは法律で規定出来ることです。法律であれば、間違いや不都合があっても国会の議決だけですぐに変えることが出来ます。

ところが、憲法は日本の場合、変更するために極めて難しい手続きを経なくてはなりません。一度の思い込みで新しい条文を追加したとしても、それが間違いや不都合であるということが明らかになるには、相当の時間がかかります。

このように、成文憲法をきちんと作り、運用するのは極めて難しいものです。私は不文憲法が無理であれば、出来るだけ条文は少なく、最低限のものにしておくべきだろうと思いますし、そういう発言を引き続き国会においても行っていきたいと考えています。

そして、憲法に書き込むとするなら、第一条を改正して「日本国は万世一系の天皇これを治らす」という文章にすべきだと思います。これは、旧憲法の第一条を少し修正したものですが、「治らす」という言葉は日本書紀の天壌無窮の神勅に出てくる言葉で、これを使うことによって神話の時代と現代を連結することができ、神話の時代から連綿と続く世界最古の国としての誇りを日本国民全員が共有することが出来ると思うのです。私は二期目の衆議院議員任期中の憲法審査会で、「天壌無窮の神勅」について触れましたが、朝日新聞等には「時代錯誤の議員」と批判されました。最も大切なことを発言すると朝日新聞をはじめとする一部の陣営から徹底的に叩かれ、発言が出来なくなってしまうのが日本の今の大きな問題です。

しかし、引き続き勇気を持ってこういった発言をしていきたいと思います。

あと、一点考えているのは経済の話です。
以前からひろしの視点でも繰り返し書いている通り、日本の経済は20年間停滞したままです。

図1を見て下さい。1995年まで、日本経済は米国経済と同様に右肩上がりで成長してきました。しかし、1995年あたりを境に、米国は右肩上がりヨーロッパも中国も右肩上がりで成長しているのに、日本だけが停滞しています。

次に図2を見て下さい。1995年の世界のGDPに占める日本のシェアが17.3%もありましたが、2014年には5.9%まで落ち込み、2040年には2〜3%程度まで小さくなってしまうことが予想されます。中国に抜かれたとは言え世界第三位の経済大国で先進国であると日本人は思っていますが、今やその地位が風前の灯なのです。そのことを指摘する政治家やマスコミは皆無です。本当にこれはおそろしいことだと思います。我々は気がつかないうちに、後進国へ、世界でも貧しい国へと転落しつつあるのです。

そして、この間の日本の経済政策のキーワードは消費増税や公共事業削減に代表される「緊縮財政」、既得権益の打破をスローガンとする「規制緩和、自由化」、TPPに代表される「グローバル化」でした。

これらは少なからず実行されてきましたが、その結果、日本の経済は停滞し、世界の経済成長から取り残されています。「何かが間違っている」と考えるべき時に来ているのです。

しかし、私が議員になってから年間、このことについて指摘をし、政策提言をする先輩議員はいませんでした。なので、私は、自らが先頭に立って日本を再生させる政策提言をしようと、同期の衆議院期生に呼びかけて「日本の未来を考える勉強会」を立ち上げ、政策提言を取りまとめました。

その提言内容は「消費税増税凍結できれば減税」「基礎的財政収支(いわゆるプライマリーバランス)の黒字化目標撤回」「政府の当初予算を毎年2〜%ずつ拡大する」という内容でした。

今回の自民党公約では、消費税は増税するものの増税分は借金返済に回すのではなくて、教育無償化等の社会保障の充実に回すということになりました。また、プライマリーバランスの黒字化目標は延期することとなりました。

つまり、緊縮財政ではなく積極財政へ、一部とは言え方針転換をしたということです。私たちの政策提言が100%実現されたとは言いませんが、少なからず党の政策変更に影響を与えたということができます。

私は、引き続きこの「日本の未来を考える勉強会」を主宰していきたいと思いますし、先輩議員たちがやらない政策提言を私たち若手議員で積極的に行い、「後進国化する日本」から「世界で最も平和で豊かな国」への道筋をつけていきたい。そして、世界で最も歴史の古い国が世界で最も豊かで最先端の科学技術を持ち、最も格差の少ない国であるという日本をつくりたい。「日本を世界に合わせる」グローバル化ではなく、世界中が日本を範としたくなるような日本にしていきたい。日本には、そういう国になる底力があると私は信じています。

-「ひろしの視点」第37号(2017年9月)より-