あんどう裕のアイコン

衆議院議員 税理士 あんどう裕

ひろしの視点

HIROSHI’S POINT OF VIEW

ひろしの視点

2019/03/19

平成31年度予算案と30年度補正予算案が決定しました

平成31年度予算案と30年度補正予算案が決定しました。

補正予算案では、緊急インフラ総合対策として7兆円が確保されました。毎年決定されている今年の漢字に「災」が選ばれたように、今年は本当に災害の多い年でありました。地震、大雨、台風による風水害により全国各地で大きな被害が発生しました。京都南部でも地震や大雨、風害などで大きな被害が発生しました。

北海道では胆振東部地震が発生し、全道が停電となる「ブラックアウト」が発生しました。泊原発が動いていれば、このような事態は発生しなかったと言われています。苫東厚真火力発電所が泊原発の停止している分も引き受けて、北海道の電力の40%を供給していました。そこが停止してしまうと、とても全道の電力を賄うことはできないわけですが、そのための備えは全くされていなかったのです。

電力というものはとても難しい商品で、常に需要量に応じて発電量を調整しなくてはなりません。よく例えられるのは、栓の抜けているお風呂です。栓の抜けているお風呂に、蛇口から水を入れながら水量が一定に保てるようにしなくてはならないようなものが電力サービスだということなのです。そして、電話の場合には、回線が一杯になったら「話し中」になるだけで、一人だけがそのサービスを受けられないということになりますが、電力の場合は、需要と供給のバランスが崩れると、その供給地域全部が停電になる「ブラックアウト」が発生してしまうのです。これが発生しないように、電力会社は需要量を予想しながら発電量を調整しています。今のところ電気は大量に貯められないので、いつも余裕を持った発電設備を維持しながら発電量の調整をしているのです。

これがぎりぎりになると、どこかの発電所の不具合で全土が停電になることが当然予想されます。今回の地震は、まだ暖かい時期だったのでよかったのですが、もし厳冬期の北海道で同じようなことが発生したら、本当に大変なことになっていたでしょう。

今回の緊急インフラ点検では、全国で電力を含めた総合インフラ総点検を行い、ブラックアウト対策も含めて非常時に備えるインフラ整備が施されることになりました。

また、京都南部に住む私たちの生活に密着する宇治川や木津川の河川整備も盛り込まれました。河川敷地内に繁茂している樹木伐採、河床掘削、堤防強化なども行われることになりました。毎年、雨の時期になると心配していましたが、これらの整備が進めば少しは安心できるのではないかと期待しています。

これらのインフラ整備は、私の主宰する「日本の未来を考える勉強会」でも繰り返し提言してきた「公共事業予算の拡大」が一定の成果を出せたものだと思っています。特に、今年の豪雨災害を受けて提出した「自然災害大国における国土強靭化「投資」の財政措置に関する緊急提言」の内容が反映されています。この提言内容に比べると、まだまだ不十分なのですが、まずは第一歩が踏み出せてよかったと思っています。

また、来年度予算も100兆円の大台を超えました。例によって「放漫財政」や「財政再建に逆行」などの批判がされています。

しかし、この予算案についても、私たちの「日本の未来を考える勉強会」では、歳出拡大の提言をし、〝少なくとも名目経済成長率と同じだけ歳出拡大するのは合理的である〟という提案をしてきました。

経済成長しようとすれば、それだけ政府支出も拡大するのは当然です。政府支出拡大なしに経済成長するには、民間がそれを補って余りあるほどの支出拡大をしなくてはなりませんが、デフレマインドの染み付いた民間企業に、いきなり支出を拡大して給料アップや設備投資をしろといっても、それは無理です。したがって、デフレ完全脱却までは政府が率先して支出を拡大し、景気回復をリードする必要があるのです。

特に人々の暮らしを守るための公共事業予算の拡大を躊躇すべきではありません。しかも、このような政府支出の削減を続けた結果、日本の経済成長は止まり、地方が衰退して東京一極集中が加速していきました。

来年は、世界の経済も先行き不透明です。本日(12月20日)には、来年の世界経済の見通しが不透明ということで日経平均株価が急落し年初来最安値となりました。10月には2万4487円だったものが2万392円となり、たった2か月で4000円も下落しています。

米国もトランプ大統領の行動の予測が難しく、中国の経済の減速や米中摩擦も危惧されます。イギリスのEU脱退はどのような結末を迎えるのか。フランスでは国内で反政府デモが勢い付いています。これは、反EU・反緊縮財政・反グローバリズムの運動と言われています。イギリスがEUから離脱したのに続き、フランスもそのような世論が大きくなりつつあります。もちろん、フランスは通貨統合までしているために、イギリスよりももっとEU離脱は難しいとは思いますが、それでも反EU・反緊縮・反グローバリズムの動きは大きくなるでしょう。

世界経済が先行き不透明な現在は、できるだけ内需主導の経済にしておくべきです。それが国民生活の安定につながります。決して鎖国をしろとか、排外主義にしろと言っているわけではありません。そして、日本国内には防災対策をはじめとしてやらなくてはならないことが膨大にあるのです。これらに予算を付けるだけで、もともと内需主導型の経済である日本は確実にデフレ不況から脱却し、世界経済の変調に一喜一憂することなく安定して経済成長できるのです。

これからも必要なところには確実に予算を付け、経済成長と地方創生に貢献できると共に、人々の暮らしの安心安全を守り、豊かにする政策の実現に尽力して参ります。

-「ひろしの視点」第52号(2018年12月)より-