ひろしの視点

憲法改正について ~改正すべきは9条だけではない~

通常国会が始まりましたが、衆参ダブル選挙も取り沙汰されるようになり、慌ただしい日々となっています。憲法改正は、今年の選挙の大きな争点となるかも知れません。

皆様ご存知の通り、憲法の改正は衆参両院で3分の2以上の議員が賛成をして発議し、国民投票で過半数の賛成を得なくてはなりません。とても改正要件の厳しい「硬性憲法」であるのが、今の日本国憲法です。

もちろん、私たち自民党は立党の時から「自主憲法の制定」を党是として掲げている党なので、憲法改正は推進すべきと思います。が、少し改正がしにくくなったのではという思いも持っています。

昨年の通常国会の平和安全法制が提案される前までは、与野党で憲法改正の議論がかなり進んでいました。特に、外国による武力行使を受けた場合や、大規模災害などの緊急事態が発生することを想定した「緊急事態条項」が現行憲法にはありません。

vol17-1当然ですが、いつ起こるか分からない緊急事態、非常事態について、その備えを万全にしておくことは間違いなく必要なことです。この規定が置かれていないことは、憲法として大切な要件を欠くこととなり、憲法の不備であると言うべきものです。

わずか一週間ほどで法律の素人が作成した憲法ですから、さもありなんというところですが、憲法制定から今日に至るまで、この条項が存在しないことによる不都合を感じることは、この国にはありませんでした。これは極めて幸運なことです。

このまま緊急事態条項がなくても困らない時代が続けばそれに越したことはありませんが、これからもその幸運な時代が続く保証はどこにもありません。そして、与野党共にこの点では一致しており、緊急事態条項の追加については合意ができそうな雰囲気がありました。

民主党も一度は政権を担当したことがある以上、この点については賛成せざるを得ないと考えていたと思います。

しかし、昨年の平和安全法制の審議以降、少し様子が変わっています。この法案の審議の際には、憲法違反ということを野党が攻め立て、マスコミもこの点では一大キャンペーンを張りました。その結果、憲法改正が言い出し難い世論が出来てしまったように思います。

今年の国会の質疑の中で、「緊急事態条項はヒトラーの全権委任法と同じだ」というような質問さえ出てきています。言うまでもなく、このような批判は全く的外れですが、ヒトラーを引き合いに出してネガティブキャンペーンをされると、世論も厳しい反応になってくることも考えられます。

憲法改正を発議する以上は、必ず成立させる必要があります。一度頓挫すると、もう一度提案できる時期がいつになるか、全く分からなくなります。将来の日本人の安心安全、生命財産を守るためにどのような規定を置くべきか。今国会では憲法審査会も開催される予定になっています。私もその委員になっていますので、与野党ともに実のある議論ができるようにと考えています。

ところで、最近全く話題にならなくなりましたが、国の存続にかかわる重大な論点があります。

それは、皇位継承についてです。

現在の憲法では、「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」とあります。

数年前には、女系天皇を認めるか否か、旧宮家を皇族復帰させるか否かで激論が交わされました。秋篠宮家の悠仁親王殿下の誕生により、この議論は全くなされなくなりました。

この議論は、「皇室典範を改正すべき」という論調で行われていましたが、なかなか結論を見出すことが難しいと思いました。

そもそも、天皇家の家法であるべき皇室典範について、生半可な知識しかない私たちが議論すべきではないのです。きちんとした天皇になるべき教育を受けておられる天皇陛下、皇太子殿下を中心とした皇族方でお決めいただければ、私たちはそれに従えば良い。ただそれだけの話なのだろうと思います。

vol17-2しかし、憲法において、皇室典範は国会で議決すると規定されているため、残念ながらそのような取り扱いができません。その結果、生半可な知識しか持たない国民が中途半端な知識や思い込みで皇室典範の改変についての議論をすることになります。本来、最も重視すべき皇位継承がきちんとした歴史観に基づかないで決定されるおそれがあるのです。この点を改善するためにも、皇室典範は皇室方でお決め頂くこととし、その皇室典範に従って皇位継承はなされるべし、とすることも憲法改正の重大な論点ではないでしょうか。

現在のまま放置しておけば、近い将来、皇位継承ができるのが皇太子殿下、秋篠宮殿下、悠仁親王殿下のみとなってしまい、皇統を維持することすら困難になるかも知れません。

そのようなことにならないよう、我々は知恵を絞る必要があります。憲法改正の大きな論点としていくべきだと考えています。

-「ひろしの視点」第17号(2016年1月)より-


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