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衆議院議員 税理士 あんどう裕

ひろしの視点

HIROSHI’S POINT OF VIEW

ひろしの視点

2021/04/03

令和3年度第1次補正予算に関する提言

新型コロナウイルス感染症は発生以来一年を経過しても、なお収束の気配が見えない。
令和2年は未知のウイルスのとの戦いに日本のみならず世界が疲弊した年であったが、令和3年においても、年明けから緊急事態宣言発出を余儀なくされ、全面的な解除はしたものの、時短営業要請はいまだ継続し、全面的な経済活動再開時期は見通せない状況である。緊急事態宣言は解除されたものの、新たにまん延防止等重点措置が発出され、社会経済活動はいまだ制限されており、経済的影響も深刻度を増している。
このような状況の下、自由民主党は政権与党として、国民に安心のメッセージを強く打ち出す必要がある。令和3年度当初予算は、コロナウイルス感染症の一応の収束を見据えての予算編成であったことを鑑みれば、補正予算編成は必要不可欠である。
米国においては、バイデン新政権がいち早く、1.9兆ドル、約200兆円もの大型追加経済対策を決定した。さらに200兆円の経済対策を検討しているとの情報もある。その結果、世界最大の債務国である米国でさえ、コロナによる経済停滞どころかむしろ経済拡大への期待は高まり、ドル相場も上昇傾向にある。
日本もこれに匹敵する追加経済対策が必要である。米国が200兆円であれば、経済規模から考慮しても最低50兆円規模の経済対策が必要である。
今回の補正予算においては、企業に対しては「損失補償と雇用維持」、個人に対しては「損失補償と所得底上げ」の2点に絞るべきである。
以下、具体的に提言する。

補正予算の規模
新規超長期国債発行による真水で50兆円とする。

内容
1、コロナショックに対する企業・医療機関・個人・自治体に対する支援の拡充(20兆円)
① 持続化給付金を事業規模に応じた給付制度への変更し再支給
コロナショックによる損失を企業や医療機関に負担させるべきではない。今回の損失は経営者の責任に帰するものではなく、国が要請して発生した損失であることに鑑みると、全国の企業や医療機関を地域や業種を問わず、国において相応の給付を行うべきである。
ここで企業に損失を負担させないことは、雇用の維持とコロナ後の日本経済のV字回復に必ず寄与する。損失に対しては十分な給付を行い、経済再生の道筋を世界の先頭に立って見せるべきである。

■具体的手法■
給付額の算定イメージ

(令和元年度課税所得-令和2年度課税所得)×80%=給付額
・商工会議所、商工会、税理士・公認会計士等の支援を得て、税務署に申請し、
税務署において給付作業を行う。
・支給後数年かけて、税務調査と同様の手法で支給金額の精査確認を行う。

②個人に対する新たな給付金制度の創設
上記①の持続化給付金制度と同様の仕組みとする。個人事業者のみならず、給与所得者、雑所得者を含むすべての個人が対象。(ただし、事業に該当しない譲渡所得等は除く。)
なお、この制度創設の目的には、個人所得の低下による個人消費の停滞を招かないことにある。
個人所得を低下したまま放置すれば、本年度人事院勧告による公務員給与のマイナス改定することは必至となる。公務員給与をマイナス改定すれば他の民間給与のマイナスも呼び起こし、給与減による個人消費の停滞からデフレスパイラルに陥る危険が極めて高い。そうなれば日本経済は更に停滞することは必定である。「決してデフレには戻さない」決意を具体的な政策として示すことが求められている。個人所得の十分な補填を実行し、公務員給与のマイナス改定を行わない決意と理由をいまから明確にすべきである。

③総合支援資金および緊急小口資金の特例延長と債務免除の拡大
これらの生活支援については、月額20万円を支給することとし、年間の貸付上限を240万円として今年度末まで期限を延長する。一律10万円の特別定額給付金の再支給を求める声も多いが、一回限りでは真の生活困窮者を救済できない。年間を通じた支援が必要である。
また、債務免除を行うのは住民税非課税世帯だけに限定すべきではない。年収500万円に達するまで、段階的に債務免除幅を縮小し、生活再建を支援すべきである。

④地方自治体への財政支援
コロナ対策による財政負担を地方自治体に背負わせてはならない。自治体の予算が緊縮型となれば当然地方経済は停滞する。これを防ぐためにも、地方自治体への十分な財政支援を実行すべきである。

⑤雇用調整助成金の特例措置を現行のまま令和3年12月までの延長
雇用調整助成金の特例措置は雇用維持に大きく貢献している。コロナショックが未だ収束しない中で、縮小すべきではない。特例措置を延長し、雇用維持に万全を期すべきである。

2、10月より3年間の消費税の課税を停止(10兆円)
日本経済がコロナショックから立ち直り、十分回復するまでの間、消費税は課税停止すべきである。
消費者の視点からみれば、消費税課税停止は、現金給付と同様の効果がある。低所得者には生活支援の効果があり、また自動車や住宅、家電製品など大型消費促進効果が見込まれる。
しかし、消費税減税の効果はそれだけではない。
コロナで疲弊し、消費税を価格転嫁できない事業者は続出している。消費税が価格転嫁できなければ、事業者の利益を消費税分だけ納税のために奪われることになる。消費税は存在するだけで事業者の利益を奪っていく税金である。
コロナによる不況を乗り切るために、消費喚起のみならず、事業者支援の観点からも、消費税減税は非常に効果的である。

3、10月より3年間社会保険料の料率を1/2に軽減(20兆円)
雇用を維持・拡大し、個人所得を底上げして経済のV字回復を図るため、消費税課税停止と合わせた大胆な経済対策を打つ必要がある。それには社会保険料軽減は最も有効である。
財源は、国債によって賄えばまったく問題ない。年金や医療介護福祉等のサービスを低下させる必要はない。